『視点 vol.1 Re:TRANS』各俳優賞のコメントです

引き続き各俳優のコメントの発表です。この賞は、観客のみなさまに「主演男優」「主演女優」「助演男優」「助演女優」の4つアンケートの投票を行って頂き集計して、審査員のみなさまと審議致しました。結構みなさんそれぞれハードな役だったらしく、コメントの熱さと近影とのギャップが微笑ましいです。気になる俳優の方がいましたら、是非追いかけてみてください!(進行・主催:ハセガワアユム)

最優秀主演男優賞:今里真

「今里です。非常に驚きつつ、受賞の知らせを受けました。達者な役者さんばかりでしたので尚更です。大変励みになります。これも素晴らしい脚本、演出、役を下さった鵺的の高木さん、一緒に作品を作ってくれた平山さん、宮嶋さんの力があってこそでした。アユムくんをはじめ、視点関わった皆様、観に来て下さった全ての方に感謝を込めまして、ありがとうございます!あ、えらく固いコメントになってしまった(苦笑)」

─── 全然いいんですよ!トップバッターですから多少固くても(笑) ビシッと決めて頂きありがとうございます。ぼくも今里さんは何度も舞台で拝見してますけど、いままでで一番好きでした。強さと弱さが同じ分量で同居してました。あの役のなかで好きな台詞とか印象的な台詞を教えて頂けますか?

「『その汚らわしい口を閉じろ』ですか。高木さんの演出になかなか応えられず、随分稽古しました。一生に一度言うか言わないかの台詞ですしね(笑)」

─── (笑)一度でも言わないですよ!どんなプライベートですか。

「こういう女性に攻撃的な役は初めてでしたし、普段もそういう所が無いので、なかなか戸惑いがとれませんでした。」

─── いやいや、そうですよね。

「蹴ったりする稽古の後は宮嶋さんに謝りまくってました。」

─── わわわ。

「正直後半は楽しくなってしまいましたが・・・」

─── ふふふ。宮嶋さんも同じようなことを仰ってたので、おふたりで新しい境地に舞台上で行ってたんだと思いますよ。おめでとうございます!


主演男優賞:杉木隆幸

─── 今里さんと僅差で競っていまして集計しながら、こちらも盛り上がりました(笑)

「選んで頂いてありがとうございます。こういうものを頂くのが初めてですが、やっぱり一緒にいた5人で選んでもらったのだなぁ、と思います。」

─── 好きな台詞とか、印象的な台詞ってありますか?

「(自分の役の)後藤の「光がなくてもそれでもいいの?」が好きでした。力ない切り札でした。」

─── ああ、まさにあれは力ない切り札でした。いいな、そのワード。使わせて頂きます。では役づくりとかで印象深いことありますか? 演出を担当した僕は、杉木くんとはおつきあい長いけど、こんなに深く「役について」ギリギリまで追いかけたことはなかったので感慨深いんですけど。

「たまに作家さんや漫画家さんが「キャラクターが勝手に動き出した」なんて言うのを聞きますが、ずいぶんそれに似ているんじゃないかと思ったりします。僕が教えて欲しいところでもあります。」

─── ああ、後半、もう無我夢中のとき、そういう瞬間たくさんあったね(笑) おめでとうございます!


最優秀主演女優賞:宮嶋美子

─── 審査員のみなさまのなかでも、俄然興味と注目が集った受賞になります。奴隷と罵られる、すごい役でしたね。

「ありがとうございます。「視点」はチーム別の創作で投票があるということで、いつもの公演とは違う緊迫感に満ちていて、でもおかげで良い刺激を受けた公演でした。他チームの出演者とも、共演者以上の絆が芽生えたように思います。この受賞が「えー」って言われないように今後精進します!演劇コンペティション「視点」が第2弾、第3弾…と続くことを願っています。」

─── 印象的な台詞とか教えてください。

「『そんなに私の声が嫌なら私は一生しゃべりません』。この台詞が一番奴隷っぽいでしょう。」

─── 確かに(笑)

「しかも言い終わらないうちに今里さんに怒鳴られるというのもまたいいなと。」

─── 役づくりについても秘密などありましたら。この公演の前が女子高生だったとこともあり、その切り替えに驚きましたが。

「2010年は色んな公演に出演する機会があったので、「振り幅」を個人テーマにしていました。一作一作、全く違う人になりたいな、と。そこで「視点」では鵺的の高木さんに「濃厚なの、お願いします」と言ったのですが、まさかあんなことになるとは(笑)」

─── NGがないって逆に高木さんが驚かれてました。

「普段の自分とは真逆な女の役だったので結構苦戦しましたが、床を這いずり回ることに快感を見出してから少し作りやすくなりました。」

─── 新感覚ですね。あれは、登場人物にある共犯関係の裏側が気になって、ずっと目で追っちゃいましたからね。おめでとうございます!


主演女優賞:秋澤弥里

─── 自分が演出してたから尚更なんですど、あの役はすごい大変な役だったから報われた形になってよかったですよね。

「ありがたい限りです。本当にありがたいです。でもこの視点に参加出来たこと、アユムさん指揮の下、“無い光BAND”仲間3人とやれたこと、ミナモザチームや鵺的チームと出会えたこと、それだけで十二分。それがもう賞です。」

─── あ〜かっこいいなあ。

「あれ?賞を頂いた喜びを語ってないっすか?ダメっすか?」

─── いやいや充分、伝わってますよ(笑) では、好きな台詞とか教えてください。

「『そんな胸がちょっと痛くなるくらいであたしの邪魔しないでよ!』と『みんなどうでもいいひとになっていくのに』。この二つは言っていて少し胸の痛くなる台詞でした。言いながら自分が言われている気分になる台詞。」

─── うーん、自分で書いておいて結構キツい台詞ですよねえ。でも身に染みる台詞はきっと良い台詞だと思って書いてるのでよかったです。

「逆に爽快な気分になる台詞だったのが『目つぶってればすぐ終わるし』。実にイイ!!(笑)」

─── はははは。女の子の気持ちをおじさんが代表して書きました。役づくりについても教えてください。

「分かり易いところで言えば、狂言ではなく本気で自殺をしたくなるという人の気持ちが分からず、ネットで『自殺 遺書』とか検索してみたりしてました。そしてひたすら遺書を読んだりしてました。すっごい暗い気分になりましたね。でも結果、多分(役である)理英は違うんだなーと『お買い物に行ってくるよ』みたいな感覚なんじゃないかなーとそういっためんどくさい事は放棄しました。」

─── そういう話もしましたよね。死が対極にあるんじゃなくて、並列にある人ってたぶんそんな感覚だから、一周しマッチしてたと思います。

「で...よく分かりません。」

─── えー!(笑)

「ただみんなに引き出してもらっていたなと思います。」

─── 人の本音ってそうやって出てくる部分もあるから正解ですよ。受賞おめでとうございます!


助演男優賞:平山寛人

─── 非常識な設定に、脇からスッとナチュラルな演技で常識をぶつけている、そんな有機的なエフェクトがあったと思います。

「栄えある賞をいただき、とても嬉しく思っています。高木の脚本と、共演した今里くんと宮嶋さんあっての受賞で、自分はなにもがんばってません。」

─── そんな、コメントまで脇に回らなくても(笑)

「省エネな演技を心がけたぐらいです。環境に優しい芝居で、これからも小劇場界を席巻しようと思ってます。」

─── おお、かっこいい言葉。戴きます! お好きなシーンや台詞など教えてください。

「史直(自分)が木谷(今里)に、共通のゲイ仲間の雄介が女とヤったときの体験談を語るとこは好きです。」

─── あ、あそこはぼくも好きです。女を抱くために、その女は元男なんだと思い込むために「魔法にかけられて変身した」とかいう設定が出て来て、高木さん流のユーモアですよね。 ちなみに役づくりなど、気をつける事はありましたか?

「主演のつもりでがんばりました!」

─── 平山さんのそういうところ、大好きです(笑) おめでとうございます!


助演女優賞・観客投票賞:金沢涼恵

─── 「助演女優賞」も決定なのですが、もうひとつお客様のアンケートで一番投票が多かった「観客投票賞」とのW受賞です。愛されキャラです!

「ありがとうございます!お客様からの投票でいただけたことがとても嬉しいです。観客席と近いあの空間で生まれたグルーブ感が忘れられません。演劇で投票ってなんだか不思議ですね。競い合うことでお互いに高めあえたように思います。この機会をあたえてくれた「視点」の皆様に感謝!」

─── 好きな台詞とかありましたら教えてください。

「後藤の「中3だから!それが全てだから!」。理由は、たぶん誰にでも心当たりがあるのではないでしょうか。中学のころ特有のこの思考。痛いところ突かれました。笑いながら泣きそうになります。」

─── 御自身の朝子役のなかではありますか?

「朝子の台詞の中でしたら、「理英のことが?ほう?!…ほう?!」。次の後藤のセリフでもありますが、何だろうこの煽りは。初めて声に出して読んだ時の衝撃がすごかった。ここでは「ほう」以外はもう考えられません。」

─── 好きなら告白しろって促す台詞が「ほう?!」ってあり得ないですもんね。これは是非ナマで聴いて戴きたいシーンです。 また役づくりなどで苦心したところなどありますか?

「演じた朝子が22歳の役だったのでその当時の自分を思い出してみました。劇団に入りたてで仕事も良く分からないし、自信もないし、でもなんか勢いがあって怖いもんなしだったかなとか・・・。朝子の世の中きれい事ばかり言ってられないのは分かるけど、それに染まりたくないといった部分を大切にしました。」

─── いや、それがまさに朝子ですよね。本当におめでとうございます!


"視点"女優賞:木村キリコ

─── "視点"ならではの賞で「本役もよかったけどまた違った面も観てみたい!」という欲張りな賞です。

「演劇やって賞を頂くのが初めてなので、緊張しっぱなしです。嬉しいです。こんな機会をくださったハセガワアユムさん、審査委員のみなさま、ご観劇くださったお客様、共演者の皆さん、瀬戸山美咲さん、ありがとうございました。」

─── 女医というクールだけど一途過ぎて壊れてる、そんな大変パワーのいる役でしたが、印象的な台詞とか教えてください。

「『心の病気はね、脳の病気なの。それをさ…どいつもこいつも病気になりたくて仕方ないんだよ』です。この女医のプロフェッショナル魂を炸裂させる台詞で、この台詞が理解できたとき、私はこの人が少し好きになりました。」

─── ああ、やっぱ地のキリコさんとはもちろん違いますもんね。役づくりも大変でした?

「セクシーでかっこいい、イカれた精神科医という役どころを掴むまで、時間がかかってしまいました。かっこいい役だから姿勢をよくしていようと気をつけていたら、少し痩せて嬉しかったです。」

─── (笑)マックのキーホルダー集めてるよいう情報は僕の耳にも入って来てましたよ。役づくりダイエットって素敵です。ルデコの、あの距離って逃げ場が無いじゃないですか。だからより凛とした佇まいが光ってましたよ。今度やられる次の舞台では、どんな役かわかったらすぐ教えてください。追いかけますので。受賞おめでとうございます!